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令和5年度市政執行方針

ページID:0001070 更新日:2023年12月4日更新 印刷ページ表示

網走市長市政執行方針演説の様子

1 はじめに
2 市政執行の基本方針
(1)市政を取り巻く環境
(2)当市の財政状況
(3)今年のまちづくりについて
3 主要施策
(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち
(2)豊かな自然と共生する安心なまち
(3)ひとが集いにぎわいと活力を生むまち
(4)豊かなひとを育むまち
(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち
4 おわりに

1 はじめに

 令和5年網走市議会第1回定例会において、予算をはじめ関連する議案をご審議いただくにあたり、市政執行の所信と施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 さて、昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症への対応を余儀なくされた一年でありました。昼夜を問わず最前線で奮闘しておられる医療従事者の皆様に心から敬意を表するとともに、市民の皆様にはこれまで、冷静な行動と、感染拡大を防ぐ取り組みを継続されておりますことに心から感謝いたします。

 新型コロナウイルス感染症への対策として、速やかなワクチン接種体制の確保や、抗原定量検査および定性検査を実施するなど、感染拡大防止と不安解消に努めてまいりました。政府におきましては、5月8日に2類相当から5類へ変更することを決定いたしましたが、今後においても感染状況を注視しながら、適切な対応に当たってまいります。

 加えて、ウクライナ情勢や円安などの影響による物価の高騰に対しては、子育て世帯や低所得世帯への給付、全世帯への地域応援商品券の無料配付のほか、公共交通事業者への支援金の給付、売上の減少に加え、原材料価格高騰の影響を受けている事業者や、飼料価格高騰の影響を受けている農業者への支援などに取り組んでまいりました。今後とも、これら情勢を注視しながら対策を講じてまいりたいと存じます。

 地域医療では、生命に関わる心筋梗塞などの心疾患や脳血管疾患などの対応に伴う機能を維持するため、地域センター病院への高度医療機器の整備支援や、チャットボットを活用し、健康や医療、育児などの相談に24時間体制で対応する仕組みを整えたほか、開業医も、この4年間で4件の、内科を標榜するクリニックの誘致を実現いたしました。引き続き誘致に当たり、地域医療の充実に努めてまいります。

 3年振りにリアルで開催した第8回オホーツク網走マラソンは、全国各地から参加された約2千名のランナーが、爽やかな初秋の網走を駆け抜けました。

 東京農業大学の学生の皆様、市民ボランティアの皆様、スポンサーの皆様、そして実行委員会の皆様のおかげで、ランニングポータルサイト「RUNNET」の大会ランキングにおいて、全国1位を獲得することができました。改めて大会運営に携わってくださった皆様に感謝を申し上げます。

 グリーンの推進では、2050年カーボンゼロの実現を見据え、日本ガイシ株式会社との共同出資により、再生可能エネルギーの利用促進に取り組む地域新電力会社「あばしり電力株式会社」を設立しました。太陽光発電施設と蓄電池の整備により、今後、公共施設での再生可能エネルギーの活用、災害など停電時の対応力の強化、さらには100%再生可能エネルギーでの学校運営を通じた、児童への環境学習を推進してまいります。

 デジタルの推進では、観光ウェブサイトの刷新や、デジタルマーケティングの視点を取り入れたPR動画の制作や広告配信など、関係人口創出の取り組みのほか、市民に利便性と快適性を提供するため、申請書の押印廃止、施設のオンライン予約に取り組みました。コンビニエンスストアでの住民票などの交付や、書かせない、待たせない窓口の実現など、引き続き、デジタル技術を用いた市民サービスの向上や事務事業の効率化に努めてまいります。

 昨年10月に安全祈願祭が執り行われた新庁舎の建設は、基本理念である「市民に自然にやさしいスマート庁舎」を目指し、デジタルによる利便性と人に優しい触れ合いが融合する、市民に親しまれる庁舎づくりを進めてまいります。

引き続き、誰もが健康で安心して暮らし続けられるまちの実現に、全力で取り組んでまいります。

2 市政執行の基本方針

(1)市政を取り巻く環境

 政府は、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づく補正予算と、「歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算」とする令和5年度当初予算を一体として、物価高を克服しつつ、経済再生に向けて、人への投資、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)といった成長分野への大胆な投資、少子化対策や子ども政策の充実などを含む包摂社会の実現などによる新しい資本主義の加速や、防災・減災・国土強靭化などメリハリの効いた予算を通じ、その政策効果を国民や地方の隅々まで速やかに届け、経済を一段高い成長経路に乗せていくことを目指すとしています。

 また、「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、経済・財政一体改革を着実に推進するが、「重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない」とし、民需中心の景気回復により、成長と分配の好循環の動きを確かなものにするため、「経済あっての財政」の考え方の下、危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組むとしています。

 国の令和5年度一般会計予算は、11年連続で過去最高を更新する114兆3,812億円となり、税収も過去最高の69兆4,400億円と、前年度当初より約4兆2千億円の増加となりました。公債依存度は31.1%と改善傾向にあるものの、債務残高はGDPの1.8倍を超えており、国の財政は厳しい状況にあると考えております。

(2)当市の財政状況

 当市の財政状況は、これまでの行政改革の取り組みに加え、全国の皆様からのご厚意であるふるさと寄附により、さまざまな施策を展開しつつも、財政の健全度を示す指標は、引き続き、改善基調にあります。

 歳入では、人口減少に伴い市税収入が減少傾向にある中、漁業をはじめとする第一次産業の好調を受け、税収増が見込まれるところです。

 一方、歳出では、新型コロナウイルス感染症や物価高への対策など、特殊財政需要もある中、デジタル化に迅速に取り組み、事務事業の効率化を図りながら、出産・子育て支援の充実、地域医療や公共交通の体制維持、脱炭素の推進、地域産業の活性化、老朽化する公共施設やインフラ施設の更新、長寿命化など、財政規律を保ちながら進めてまいります。

 令和5年度の一般会計当初予算は266億4,538万3千円で、対前年度比プラス26億4,538万4千円、11.0%の増、6つの特別会計は総額で96億9,672万4千円、対前年度比マイナス2億6,023万5千円、2.6%の減となりました。

 また、公営企業会計は3つの事業会計の総額で51億2,260万6千円、対前年度比プラス1,108万1千円、0.2%の増となったところです。

(3)今年のまちづくりについて

 令和5年度は、グリーンおよびデジタルトランスフォーメーションに向けて取り組むとともに、地域医療の充実や子育て世帯に対する支援、地域経済の活性化など、総合計画を基本として、5つの観点からまちづくりに取り組んでまいります。

1つ目は「ひとにやさしく、ひとを育むまちづくり」です。

 地域医療では、オンライン診療が可能となるヘルスケアモビリティを運行し、通院困難者や医療機関の負担軽減を図るとともに、引き続き、救急医療の体制確保と開業医の誘致に努め、医療提供体制のさらなる充実を図ってまいります。

 また、子どものインフルエンザ無料予防接種の対象年齢を引き下げるほか、新たに、帯状疱疹予防接種の費用を助成するなど、市民の健康維持に努めてまいります。

 子育て環境では、学校や認定こども園、幼稚園、保育園での、安全・安心なおいしい給食の提供とともに、子育て世帯の負担を軽減するため給食費を無償化いたします。

 また、認定こども園での一時保育の利用対象年齢を引き下げるほか、発達支援センターでは、専門機関から作業療法士の派遣を受け、療育指導の充実を図ってまいります。

 加えて、安心して出産・子育てができるよう、妊娠・出産時の経済的な支援に取り組むほか、1歳までの乳児に関しては、新たに、健診時にベビー用品の購入に利用できるクーポンを進呈し、子育て世帯の負担を軽減してまいります。

 高齢者や障がい者への支援では、手話で意思疎通を図ることが困難な聴覚障がい者を対象とした要約筆記者の派遣、軽度・中等度難聴者の補聴器購入費への助成のほか、ひとり暮らしの高齢者などを対象に、IoT技術を活用した見守りに取り組んでまいります。

 学校生活では、道内外の教育研究者から授業改善に向けた指導・助言を受け学力の向上に繋げていくほか、特別支援教育支援員を増員し、支援が必要な児童生徒の状態に応じた、きめ細かな支援を充実させるとともに、新たに、潮見小学校へ通級指導教室を開設いたします。

 生活支援では、物価高騰による家計への影響を緩和するため、上水道の基本料金を2カ月間、減免してまいります。

2つ目は「グリーンなまちづくり」です。

 新たに策定した地域再生可能エネルギー導入戦略を踏まえながら、グリーントランスフォーメーション関連施策などを念頭に、環境基本計画を改定してまいります。

 また、潮見小学校、第三中学校屋体、オホーツク・文化交流センターの照明をLED化し、電力の消費量抑制に努めるほか、森林の環境保全機能の維持のため、植林や伐採、林道施設など計画的な整備を進め、森林の循環に努めてまいります。

3つ目は「活力あふれるまちづくり」です。

 農業では、持続的な発展と魅力ある農村環境の維持に向け、JAオホーツク網走が推進する農業デジタル化の取り組みを支援するほか、家畜伝染病に対する防疫資材の整備、ジャガイモシロシストセンチュウ対策など防疫体制を強化するとともに、肥料価格高騰の影響を受けている農業者を支援してまいります。

 水産業では、高度な知見と技術が必要な種苗生産の技術向上のため、専門家による技術指導を受けるほか、網走湖のヤマトシジミ資源の回復に向けた種苗生産を支援してまいります。

 観光業では、航空会社と連携したインバウンドの誘客促進や閑散期の宿泊増強商品の造成など、観光客の回復に向けた取り組みのほか、ワーケーションなど長期滞在型の推進とともに、戦略的な観光地域づくりを担うDMOを支援してまいります。

 中心市街地の活性化では、リモートワークなど、多様な働き方に対応する拠点であるコワーキングスペースの利用促進を支援してまいります。

 市場開拓・販路拡大では、引き続き、ふるさと納税制度を通じた特産品のPRに努めていくとともに、新たに、地場産品の生産性向上につながる設備整備を支援してまいります。

 人手不足問題に対しては、建設業などの社会インフラや公共交通の担い手の育成および人材確保を支援するほか、市内に新規就職した若者への奨励金の支給に加え、就業意欲と地元企業の認知度を高めるため、新たに、高校1、2年生を対象とした企業説明会を開催し、若者の地元定着を推進してまいります。

 これらのほか、コロナ禍による売上の減少に加え、エネルギー価格高騰の影響を受けている事業者を支援してまいります。

 4つ目は「安全・安心なまちづくり」です。

 新型コロナウイルス感染症への対応では、市民への情報発信に努めながら、国の方針の下、ワクチンの接種体制を確保するとともに、感染予防資材の整備や、感染に不安がある方への検査の実施など、感染リスクを低減してまいります。

 災害対策では、地域防災力の向上を図るため、自主防災組織への支援に加え、火災などの疑似体験による防災訓練の充実のほか、津波浸水想定の見直しに伴いハザードマップを改訂するとともに、津波避難路にソーラー蓄電池式の照明設備を整備してまいります。

 インフラの整備では、通学路の安全確保のため歩道の新設・改修、道路の改良、橋梁やロードヒーティングなどの老朽化対策を計画的に進めるとともに、公園は、地域の利用実態や特徴を踏まえながら、計画的に再編を進めてまいります。

 また、公園遊具や河川の適正な管理に努めてまいります。

5つ目は「デジタルを推進するまちづくり」です。

 関係人口の創出では、観光PR動画などを活用した広告配信および広告の閲覧状況やアクセス経路分析、デジタルマーケティングを活用した観光プロモーションに取り組んでまいります。

 市民サービスでは、二次元コードを活用した電子納税のほか、市民係窓口、総合体育館、モヨロ貝塚館でのキャッシュレス決済を導入し、市民や利用者の利便性を向上してまいります。

 行政運営では、庁内各課で管理する地理情報を横断的に管理する仕組みを構築し、行政情報の効率的な利活用を促進するほか、オープンデータ化に取り組んでまいります。

 地域社会では、ビジネス変革に対応するため、専門家による相談・支援窓口の開設を支援し、技術の活用や人材の育成を図るとともに、AIデマンドバスの本格運行、公共施設のWi-Fi環境の充実、GIGAスクール構想を推進してまいります。

3 主要施策

(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち

 第1は、「一人ひとりを大切にするやさしいまち」づくりです。

保健医療

 市民の皆様が生涯を通じて健康で安心して暮らせるよう、健康都市連合加盟都市と情報を共有しながら、保健・医療・健康づくりの施策を一体的に推進してまいります。

 生活習慣病の予防では、関係団体と連携した事業の推進に努めるとともに、「あばしりベジラブル運動」の普及啓発や、対象事業に参加した方にポイントを付与する「あばしり健康マイレージ事業」に取り組むほか、健康づくりの指導者養成に努めてまいります。

 医療体制の確保では、新たに、移動型の医療サービスに取り組むほか、引き続き、救急医療の体制確保と開業医の誘致に取り組むとともに、人材確保に取り組む医療機関を支援し、医療提供体制の維持、充実に努めてまいります。

 母子保健では、妊娠期から出産・子育て期にわたる切れ目のない相談体制により、母子の健康保持や増進に努めてまいります。

 予防医療では、子どものインフルエンザ無料予防接種の対象範囲を生後6カ月の乳児まで引き下げるほか、新たに、帯状疱疹予防接種費用の助成に取り組んでまいります。

 新型コロナウイルス感染症への対応では、感染予防資材の整備、感染に不安がある方への検査の実施など、感染リスクの低減を図ってまいります。

地域福祉

 地域福祉では、市民の皆様をはじめ団体、関係機関との連携を深め、地域の支え合いを念頭に、安心して生きがいを持って暮らすことができるまちづくりに取り組んでまいります。

 高齢者福祉では、引き続き、地域および関係機関と情報や課題の共有に努め、連携強化を図りながら、医療・介護・予防・住まい・生活支援などのサービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステムのさらなる推進に努めるほか、介護人材の確保に取り組む事業者を支援し、介護職員の離職防止や定着促進を図るとともに、新たに、ひとり暮らしの高齢者などを対象に、IoT技術を活用した見守りに取り組んでまいります。

 障がい者福祉では、手話言語条例に基づく手話の普及啓発に努めるほか、手話で意思疎通を図ることが困難な聴覚障がい者を対象に要約筆記者を派遣するとともに、新たに、軽度・中等度難聴者の補聴器購入費を助成してまいります。

 子育て支援では、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない総合的な支援を展開するほか、認定こども園での一時保育の利用対象年齢を引き下げるとともに、発達支援センターでは、作業療法士による療育指導をさらに充実してまいります。

 また、中学校卒業までの医療費負担の無償化に加え、新たに、認定こども園や幼稚園、保育園の給食費を無償化するほか、1歳までの乳児に係るベビー用品の購入費を助成し、子育て世帯の負担を軽減してまいります。

 ひとり親家庭にあっては、引き続き、医療費の一部または全部を助成し、親と子の健康保持および福祉の増進を図るとともに、経済的な支援や就労支援に取り組んでまいります。

生活福祉

 生活支援では、物価高騰による家計への影響を緩和するため、上水道の基本料金を2カ月間、減免してまいります。

 生活困窮者に対しては、自立相談支援と併せ、世帯全体の家計収支を分析し家計の再生につなげる取り組み、また、就労の準備として基礎能力の形成を支援するなど、自立に向けた支援策を継続してまいります。

(2)豊かな自然と共生する安心なまち

 第2は、「豊かな自然と共生する安心なまち」づくりです。

都市空間

 市街地における居住および都市機能の集約や適切な配置などを示す「網走市立地適正化計画」に基づく、コンパクトで利便性と持続性の高いまちづくりを推進するとともに、庁舎移転後の跡地の利活用、高規格道路の延伸を考慮した都市機能の在り方などについて、関係機関と連携を図りながら検討を進めてまいります。

都市基盤

 インフラの整備では、道路、橋梁、公園、港湾の長寿命化を図るための老朽化対策や、計画的な整備を進めるほか、通学路の安全確保のため歩道の新設・改修、道路の改良、未舗装道路の舗装化や郊外地区の道路整備に取り組むとともに、公園は、地域の利用実態や特徴を踏まえながら、計画的に再編を進めてまいります。

 また、公園遊具や河川の適正な管理に努めてまいります。

 冬期対策では、ロードヒーティングの計画的な改修や維持管理のほか、効率的な除雪体制を確保してまいります。

 港湾では、網走港の安全な利用のため監視指導を継続してまいります。

 公共交通では、AIを活用したデマンドバス「どこバス」の本格運行を開始し、便利で持続可能な交通体系の確立を図るほか、担い手の育成や人材確保のため、免許取得や労働環境改善などに取り組む事業者を支援してまいります。

 また、網走駅構内へ駐輪場を整備し、利用環境の改善、利便性の向上を図ってまいります。

 JR北海道問題では、乗車運賃の助成や、市民団体などによる自発的な取り組みを支援し、地域利用の促進を図るとともに、市民をはじめ、団体や企業などへマイレール運動を提唱するなど、鉄路の維持存続に向け、関係団体と多様な連携を図りながら対応に努めてまいります。

 女満別空港の利活用では、地域や他空港の関係団体、北海道エアポート株式会社との連携により、路線の利用促進や、維持・拡大に取り組んでまいります。

生活安全

 市民の安全・安心では、地域防災力の向上を図るため、自主防災組織への支援に加え、火災などの疑似体験による防災訓練の充実のほか、津波浸水想定の見直しに伴いハザードマップを改訂するとともに、津波避難路にソーラー蓄電池式の照明設備を整備してまいります。

 交通安全では、運転免許を自主返納した高齢者へ、公共交通利用券に加え、新たに、どこバス利用券を交付し、返納後の移動手段の確保を図るほか、園児、児童、老人クラブ会員などを対象にした交通安全教室を開催し、交通安全意識の啓発に努めてまいります。

 耐震化対策が必要な公共施設については、今後の整備の在り方を含め、総合的な検討を進めてまいります。

 消防では、高度救命処置用資機材の整備などを進め、消防力の強化、救命率の向上を図ってまいります。

環境

 環境の保全では、新たに策定した地域再生可能エネルギー導入戦略を踏まえながら、グリーントランスフォーメーション関連施策を念頭に、環境基本計画を改定してまいります。

 また、公共施設の照明のLED化を進め、電力消費量を抑制するほか、電力の地産地消を目指すあばしり電力株式会社の取り組みを進めてまいります。

 呼人地区で発生した、河川などへの影響が懸念される重油漏れにつきましては、対応の所管庁となる北海道と連携を図り、専門家の技術的知見を踏まえ原因者対応を求めるとともに、関係団体と協議しながら環境保全対策を進めてまいります。

 自然環境の保護では、ラムサール条約登録湿地である濤沸湖の価値を認識し、周辺域を含めたさらなる自然環境の保全と賢明な利用を図るため、濤沸湖環境保全活用ビジョンを改訂してまいります。

 廃棄物処理では、新たに、廃棄物減量化等推進審議会を設置し、周辺自治体と連携しながら、広域での焼却処理方法および最終処分方法の検討を進めてまいります。

 最終処分場の延命では、資源物集団回収支援金を増額するほか、「あばしりごみ通信」では、市民の意見を取り入れながら周知内容の改善に取り組むとともに、ごみの出し方、分別方法、資源化などについて分かりやすい内容の動画を制作し、小学生の環境学習で活用するなど、分別率の向上に向けた啓発活動に努めてまいります。

 また、生ごみ堆肥化率の向上、破砕機の導入、紙おむつの高温高圧処理、衣類などの焼却処理により、埋め立てごみの減容を進めてまいります。

生活基盤

 公営住宅では、子育て世帯に配慮した潮見団地の整備を進めるとともに、大曲団地およびつくしが丘第2団地のエレベーター改修など、計画的な修繕により長寿命化を図り、より良い住環境づくりに努めてまいります。

 空き家対策では、空き家バンクを利用した物件の流通の促進や、住宅の解体に係る費用を支援してまいります。

 上水道では、安全で安心な水を安定して各家庭に届けるため、計画的に導水管や配水管を布設替えしてまいります。

 下水道では、河川・湖沼の水環境の保全を図る施設を整備するとともに、老朽化した機械設備などの更新を進め、公衆衛生の向上を図ってまいります。

(3)ひとが集いにぎわいと活力を生むまち

 第3は、「ひとが集いにぎわいと活力を生むまち」づくりです。

農林業

 農業では、持続的な発展と魅力ある農村環境の維持に向け、環境に配慮した安全・安心な農作物生産、もち麦の栽培促進、農業基盤の整備のほか、JAオホーツク網走が推進する農業デジタル化の取り組みに加え、農業後継者および新規就農者を対象とした研修を支援するなど、担い手の確保に努めるとともに、肥料価格高騰の影響を受けている農業者を支援してまいります。

 病害虫や伝染病の対策では、国や道とともにジャガイモシロシストセンチュウのまん延防止と防除に万全を尽くすほか、家畜伝染病の発生時に迅速に防疫作業が実施できるよう、初動対応に必要な防疫資材を整備し、防疫体制を強化してまいります。

 鳥獣被害防止対策では、増加している農林業被害の防止と個体調整のため、有害鳥獣の捕獲業務を強化するとともに、市街地での目撃が増加しているヒグマによる人的被害の防止と共生の両立について取り組みを進めてまいります。

 林業では、森林の持つ木材生産と環境保全という多面的機能の維持と再生を図るため、計画的な森林整備や林道施設の適切な維持管理に努めてまいります。

水産業

 水産業では、高度な知見と技術が必要な種苗生産の技術向上のため、専門家による技術指導のほか、網走湖のヤマトシジミ資源の回復に向けた種苗生産を支援してまいります。

 また、海面・内水面における漁場環境保全や、網走湖および能取湖の水質・資源調査を支援し、漁家経営の安定化を図ってまいります。

 水産加工の振興では、網走産水産物の良さやおいしさを幅広くPRするため、学校給食や大学食堂などでの提供のほか、オホーツク網走マラソンや友好都市、首都圏などでのPRを通じて網走産水産物の認知度の向上を図り、ふるさと納税制度の活用による消費拡大を図るとともに、外国人技能実習生の技能検定料の支援対象範囲を拡大し、持続的な水産加工業の発展を図ってまいります。

観光

 観光業では、航空会社と連携したインバウンドの誘客促進や、閑散期の宿泊増強商品の造成、ワーケーションなど長期滞在型を進めるほか、戦略的な観光地域づくりを推進するDMOを支援するとともに、観光PR動画などを活用した広告配信および広告の閲覧状況やアクセス経路分析など、デジタルマーケティングを活用した観光プロモーションに取り組んでまいります。

商工業

 中心市街地の活性化では、網走中央商店街振興組合や、網走商工会議所、「まちなか網走」などとの連携によるイベントの創出のほか、リモートワークなど、多様な働き方に対応する拠点であるコワーキングスペースの利用促進を支援してまいります。

 企業誘致では、引き続き、地域の特性に即した誘致活動を推進するとともに、網走刑務所や関連事業者との連携により、公有地などの資源を活用した共生型地域社会の実現を目指してまいります。

 また、デジタル時代のビジネス変革に対応するため、専門家による相談・支援窓口の開設を支援し、地域のデジタル化を進めてまいります。

産業振興

 市場開拓・販路拡大では、引き続き、ふるさと納税制度を通じた特産品のPRに努めるとともに、新たに、地場産品の生産性向上につながる設備整備を支援してまいります。

 就労対策では、女性や高齢者の就労支援に努めるほか、建設技能者や、社会インフラを担う若者技能者の人材育成に取り組む事業者を支援するとともに、市内に新規就職した若者への奨励金の支給に加え、就業意欲と地元企業の認知度を高めるため、新たに、高校1、2年生を対象とした企業説明会を開催し、若者の地元定着を推進してまいります。

 また、企業が行うU・I・Jターンの取り組みや、網走商工会議所が行う地元企業の就職情報発信を支援してまいります。

 これらのほか、コロナ禍による売上減少に加え、エネルギー価格高騰の影響を受けている事業者を支援してまいります。

(4)豊かなひとを育むまち

 第4は、「豊かなひとを育むまち」づくりです。

学校教育

 就学前施設から小学校へ円滑に接続することで、いわゆる「小1プロブレム」を未然に防止するため、幼児と児童との交流や、教職員が教育内容や指導方法の相互理解を深めるなど、幼稚園、保育園、認定こども園、小学校の連携を進めてまいります。

 学校教育では、教育内容の充実、学校運営の改善、家庭や地域を含めた教育環境の整備に努め、子どもたちの確かな学力、豊かな人間性、健やかな体の調和の取れた成長を促す取り組みを推進してまいります。

 このため、学習支援員を配置し、習熟度別授業や少人数指導などに取り組むほか、引き続き、GIGAスクール構想の推進に向けたデジタル教材の整備、外国語指導助手による英語教育に取り組むとともに、新たに、道外の教育研究者から授業改善に向けた指導・助言を受けるなど、授業の円滑な進行と質の向上に努めてまいります。

 また、スクールカウンセラーの相談体制の充実のほか、特別な支援を必要とする子どもたちの学校生活や学習活動をサポートする支援員を増員し、個々の状態に応じた、きめ細かな支援に取り組むとともに、新たに、潮見小学校へ通級指導教室を開設いたします。

 さらに、児童の学力・体力の向上を図るため、引き続き、東京農業大学の学生ボランティアによる学習サポート、日本体育大学の指導者による指導や教員研修に取り組んでまいります。

 学校施設は、潮見小学校、第三中学校屋体の照明をLED化するほか、東小学校、第四中学校のトイレを改修するとともに、各校の改築、長寿命化、修繕に係る中長期的計画を策定してまいります。

 学校給食は、子どもたちに安全で安心な学校給食を継続して安定的に提供していくための運営体制を整備するとともに、無償化により保護者負担を軽減してまいります。

 生徒数の減少によりさまざまな課題を抱える部活動は、費用負担の在り方や競技・文化団体などの整備充実、人材確保などに関し、論点整理するためのマネジメント体制を整備してまいります。

 引き続き、学校と地域の連携・協働により、地域とともにある学校づくりに取り組む「コミュニティ・スクール」を推進するとともに、校務の情報化と効率化を図り、すべての教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間を確保することができるよう、取り組んでまいります。

 高等学校では、網走南ヶ丘高校定時制課程の振興や、下校時の通学手段の確保を支援してまいります。

 東京農業大学に対しては、地元や友好都市などから入学する学生への学資支援金の給付のほか、関西圏の高校生を対象とした校外教育プログラムの取り組みを支援し、さらなる学生確保に努めてまいります。

 日本体育大学附属高等支援学校に対しては、引き続き、保護者の経済的負担を軽減するための入学費用や奨学金制度、教育環境や教育活動のほか、オープンキャンパスやPR活動などについて支援してまいります。

社会教育

 社会教育では、市民の主体的な学びが豊かで潤いのある地域づくりへと進展していく契機となるような場の充実を図り、網走の魅力を再認識し、新たな発想や創造につながる学習機会を提供してまいります。

 加えて、子どもたちの豊かな心や感性、たくましく生きる力を育み、夢を持って生きることの素晴らしさを学ぶ、子ども夢育事業を引き続き実施するとともに、青少年の学習環境の整備を図るほか、高等教育機関などと連携した多様な学習機会を提供してまいります。

 図書館では、各種資料の収集や整備・保存に努めるほか、電子図書館の書籍の充実を図り、多くの市民が読書に親しめる環境づくりに取り組んでまいります。

文化

 芸術文化では、多くの市民が優れた芸術文化に触れ、豊かな人間性を育むことができる活動の充実に向け、さまざまな分野の芸術文化を鑑賞する機会を提供してまいります。

 また、新たな賑わいを創出し、芸術文化の向上や市民文化の発展につなげるため、恵まれた自然環境など、まちの魅力を生かした合宿誘致により芸術文化の活動拠点づくりを図るほか、音楽・美術の専門家による表現技法の学習機会を提供してまいります。

 美術館では、優れた美術作品の鑑賞機会を提供するため、また、博物館では、郷土の歴史について学び、体験する場として、企画展の開催や教育普及活動に努めてまいります。

 モヨロ貝塚館では、古代モヨロ文化を学び、体験する講座の開催などにより史跡を広くPRし、まちのシンボリックイメージとしてのモヨロ文化の定着を図るとともに、リニューアル10周年を記念して、最新調査の成果展を開催いたします。

スポーツ

 スポーツでは、競技スポーツの振興はもとより、誰もが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康づくりを進めることができる環境づくりに取り組むほか、備品の整備と施設の長寿命化を図ってまいります。

 トップアスリートなどが「夢先生」として授業を行う「夢の教室」は、引き続き、市内の全小学校で開催し、児童の健全育成に取り組むとともに、全道大会、全国大会に出場するスポーツ少年団へ遠征に係る費用を支援し、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。

 障がい者スポーツでは、障がいのある人がスポーツに親しみ、身体を動かす喜びを体感することによって、健康増進や体力向上を図ることのできる環境づくりを進めるとともに、市内関係団体や日本体育大学附属高等支援学校と連携し、スポーツ教室の開催や指導者の育成を図ってまいります。

 スポーツ合宿では、関係機関や団体と連携を図りながら誘致活動に努めるほか、7月に網走湖漕艇場で開催される全国高等学校総合体育大会ボート競技の開催を支援してまいります。

交流

 国際交流では、姉妹都市のカナダ・ポートアルバーニ市とは、少年少女訪問団の派遣など青少年の交流を、大韓民国蔚山広域市南区とは、市民の主体的な友好交流の促進を、コロナ禍を見据えて図ってまいります。

 国内交流では、引き続き、友好都市などと、児童・生徒の平和学習や体験学習、物産交流などさまざまな交流を進めるとともに、新たに、市民の主体的な交流活動を支援してまいります。

 地域間交流では、網走の食材を扱う市外事業者や、ふるさと寄附をいただいた方々を中心にあばしり応援人・応援隊を募るほか、東京農業大学の卒業生へのアプローチによる関係人口の創出・拡大に努めるとともに、網走での生活を希望する方を大都市圏から募る地域おこし協力隊制度に引き続き取り組み、移住・定住の促進に努めます。

(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち

 第5は、「ともに歩み、ともに築く協働のまち」づくりです。

地域協働

 地域協働では、市民、地域活動の核である町内会や、さまざまな分野で活動している市民活動団体など多様な組織・団体とともに取り組んでまいります。

 地域活動では、町内会や自治会が所有する集会施設の改修などに係る経費のほか、新たに、団体などの地域活動を支援し、市民活動の活性化やコミュニティの育成を図ってまいります。

 広報・広聴では、広報紙の充実に努めるほか、市民と双方向で情報を共有できる仕組みを活用し、的確な市政情報の提供や正確な情報の収集に努めるとともに、公式ウェブサイトをリニューアルし、効果的な情報発信の仕組みづくりを目指してまいります。

 また、「まちづくりふれあい懇談会」「みんなの市長室」「市長への手紙」などの取り組みを通じて市民意識の把握に努め、ともに築く協働のまちづくりを進めてまいります。

行政運営

 行政運営では、「網走市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の進捗状況や達成度の検証・分析を通じて、効率的、効果的な施策を推進するとともに、「網走市公共施設等総合管理計画」に基づく公共施設などの適正な配置や、「第5次網走市行政改革推進計画」に基づく効率的で効果的な事務事業の推進、「網走市DX推進計画」に基づく持続可能なまちづくりに努めてまいります。

 また、地域公共交通、観光・空港の振興、地方創生、廃棄物処理など、一基礎自治体では解決が困難な課題に対しては、大学、企業、団体などと多様な連携を図りながら解決に取り組み、斜網地域1市4町の枠組みによる定住自立圏においても、救急医療体制の維持など、圏域全体で必要な生活機能を確保するための取り組みを進めてまいります。

4 おわりに

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年が経過し、いまだマスクの着用が求められるなど、コロナ禍が続く日々を送っています。

 しかし、一方、徐々に人の動きなどは活発となり、昨年は、5月の春カニ合戦、7月のオホーツク夏まつりや花火大会、9月にはオホーツク網走マラソンを3年振りにリアルで開催することができました。観光客の入り込みも回復の兆しが見える中、女子プロサッカーチームの合宿など、これまでの取り組みの芽が出てきているものと思います。今年は7月に、全国から千名を超える選手、関係者らが集まる全国高等学校総合体育大会のボート競技が本市で開催され、網走湖を舞台に熱戦が繰り広げられます。

 また、少子化の中、当市においては中学生までの所得制限なしの医療費の無償化に加え、認定こども園や保育園、幼稚園、小学校、中学校の給食の自己負担をなくすなど、子育て世帯に寄り添い、時代の潮流を見極めながら着実なまちづくりの歩みを進め、日常を取り戻していく1年としたいと考えております。

 議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。